Project-2 倒立Fフォーク&Wディスク化 トップブリッジ Part1

2001.2.25(Sun)

 さて、トップブリッジについて検討しよう。走行面ではTZR250Rの物をそのまま使用しても全く問題はない。ところが、鍵やメーター類を固定しているのがトップブリッジなのでかなり問題になる。左の写真はトップブリッジを裏側から撮影したもので、上がTZR、下がSPADAである。

 センターの穴の上にある2つのボルトが鍵を取り付ける物で、その両側がメーターを固定する為のボルトである。その下の窪みはライトステーを取り付ける為の物だ。一番無難なのはTZRのトップブリッジにSPADAの鍵の取り付け穴とメーターの取り付け穴が付いている物を造る事だ。
 これは結構骨が折れる。鍵穴の取り付け位置は実は真面目にやらなくてはならない。なぜなら”ハンドルロック”なる物が存在するからだ。これを無視してしまえば適当でもよいのだが、どうせならきっちり造りたい。ステアリングステムの軸穴から鍵の取り付け穴の距離、高さ、角度をきっちり揃えればハンドルロックは正常に作動する筈だ、、、と思ったけど、そう言えばハンドルの切れ角が多分かなり少なくなっているからSPADAのに合わせて造ってもどのみちハンドルロック出来ないんじゃないか、、、?

 とりあえずはTZRのトップブリッジに鍵の取り付け穴とメーターの取り付け穴の開いた部品をくっつけてみようかなと思ったので、TZRのトップブリッジで邪魔になるTZRの鍵の取り付け部を削ってみた。

 サンダーで大体削り落としてから手でヤスリをかけて、電動ドリルを使用して適当に磨いてみた

 写真では軍手を着用しているように見えるかもしれないが、実は軍手のように見える革手袋である(笑)。電動工具使用の際には大変危険なので必ず革手袋を着用しよう。

削り終わった状態。

 SPADAとTZRのトップブリッジを重ねてみた。こんな感じのが製作出来ればよいのだが、、


2001.2.28(Wed)

 予想を遥かに上回って難しい。作業は極めて難航している。方法としては、先ず

 1. 削り出しで全部造る
 2. TZRのトップブリッジに部品を付け足して製作する


 の二通りがあるが、削り出しで丸ごと造るにはNCフライスの使い方を覚える必要があるし、NCフライスは自分の所属する試作係の設備ではない為使いづらい。とりあえずはTZRのトップブリッジを加工して製作する事にする。

 最初はTZRのトップブリッジにブロックを付けて取り付けのネジ穴を切れば問題ないだろうと思っていたが、世の中はそんなに甘くなかった。現段階では社内でアルミの溶接が出来ない為、ブロックを付け足す場合はボルト等でトップブリッジに取り付けるわけだが、上の写真を見て分かる通り、スペース的に全く余裕が無い。しかも、写真はトップブリッジだけだが、これに鍵とメーターがぴったり取り付けられるので、更に余裕が無い事になる。

 取り付け面も不安定極まりない。この項目の最初で削った部分なので、平面ではない。削ってなくても所詮鋳造なので、面がきれいとは言い難い。かと言ってもただでさえ肉厚がなくタップをたてるのには不安のあるアルミをそうそう削れるものではない。

 更にTZRはステムのキャップナットの受け面とフォークの受け面が段差になっていて、追い討ちをかけるように左右のフォークの穴の間の部分が窪んでいる(上下から見た時)。難しい。困った。

 この期に及んで ”みなさんの参考に”などときれいごとを言っている余裕はもはや無い。三次元測定器で穴ピッチや段差を測定(このくらいの物ならハイトゲージがあれば測定出来るが、こっちの方が早い)。

 しかし、自分としては機械加工職人のはしくれとしてのプライドもある。見た目の悪い物は造れない。アイデアとセンスの問われる所だ。昨日今日とかなり長時間トップブリッジとにらめっこして考えている。部品を頭の中で三次元で組み合わせるのはホント疲れるが、ようやくなんとなくイメージは出来て来たと言うのが現状である。
2001.3.01(Thu)

 SPADAとTZRのトップブリッジの寸法を測定したわりには、図面に起こすのが面倒だったので結局頭の中でイメージを練った。TZRのトップブリッジに直接アルミのブロックを付けるのは難しそうだったので、ステーを造って、それにキーを固定する為のアルミブロックを取り付ける方向で進める事にした。その方が完成時の見た目が良さそうだったからだ。 

 しかし、頭の中だけではイマイチあやふやなイメージしか湧かないので、とりあえずステーのトライ品を造ってみる事にした。鉄板をレーザーで切ってプレスを使って曲げてみたのだが、角度の違う曲げが数カ所あるので、非常に寸法が出しにくい。これは問題だ。あとは曲げ方も悪かったようで、歪んでしまっている部分がある。このへんも再検討の必要がある。最終品は恐らくかなり形状が変わるだろう。

 あまりに見た目がみっともないのでHPに掲載しようか迷ったが、途中経過は一つの記録としてしっかり残しておこうと思い掲載。

 余談ではあるが、これは一ケ所ずつ曲げて加工しているが、通常の試作品や量産品はその製品専用の金型を製作してかなり少ない回数で曲げ加工を完了する。



2001.3.03(Sat)

 キーを取り付けるマウントを製作。これはトライ品ではなくそのまま使用する。アルミのブロックを汎用フライス盤を使用して製作。自分の技能が未熟な為かなりの時間を要してしまった。

 トップブリッジのイメージは大体こんな感じメになる予定。前述の通りステーは大幅に変更の必要があるのでなんとも言い難いが、おおまかな構造はこれでいこうかなと思う。


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